「置き碁・指導碁について」の版間の差分

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 置き碁と棋譜並べについて話をもどせば、プロの棋譜に小ゲイマ受け連発置碁はないので、置碁対策を目的とした棋譜並べはありえません。互先の棋譜から折り合いをつけて並べるということになります。<br>
 置き碁と棋譜並べについて話をもどせば、プロの棋譜に小ゲイマ受け連発置碁はないので、置碁対策を目的とした棋譜並べはありえません。互先の棋譜から折り合いをつけて並べるということになります。<br>
 四子局以上には「天下四目 上」(東京創元社、徐 奉洙(ソ・ボンス))があることは冒頭に述べました。四子局以上については棋譜並べで効率よく勉強するのはちょっと難しいのではないかと思います。<br>
 自分自身を振り返ると、四子局以上の課題は以下の順序で上がっていきました。<br>
★四子局以上<br>
 ・コゲイマ受けを徹底し、四隅を地にすることと中央に出ることを覚える<br>
 ・一間ばさみは必然性がない限り仕掛けない<br>
 ・コゲイマ受けに飽きたら、二間高バサミ定石に取り組む<br>
 四子局では参考となる棋譜はあまりありませんが、以下を挙げます。<br>
 ・四子局:「並べて学ぶ定石とヨセ」の第一集(上記の課題とは合致しません。)<br>
 二子局・三子局のために専門書がほしい、という方には「置碁のバイブル 下」(東京創元社、 梁宰豪(ヤン・ジェホ))がよいかと思います。置碁としての解説は当然こちらのほうが詳しいです。<br>
 自分の三子局の取り組みは、以下でした。<br>
★三子局<br>
 ・白の星打ちにはケイマガカリして、 スベって二間ビラキ or はさまれたら三々入り の超頻出二定石のどちらかで簡明に済ませる<br>
 ・白の小目には一間高ガカリ下ツケ引き定石で打ち、手厚く逃げ切ることを覚える<br>
 ・二連星に内側からかかられたら星の二間高ばさみを徹底する<br>
 ・白の小目に一間高ガカリして、二間高ばさみ、一間ばさみされるようになったら強いと認められた証拠、<br>
  二間高ばさみには村正定石、一間ばさみにはコスミ定石を覚える(下ツケは変化が多いので後回し)。<br>
 星の二間高ばさみ定石の良いところはそこそこ手数が長いので大振りな形となり、碁型が決まりやすいことです。<br>
 そのため、上手に紛れさせず、簡明な進行に誘導しやすくなります。<br>
 また、二連星の内側で二間高ばさみすると背後の星も使って隅も辺も両方有利な形になりやすくなります。<br>
 有段者でも意外とご存じない方もおり、その場合は苦労せずに序盤で有利な形勢になることもあります。<br>


 二子局、三子局について参考となる棋譜として、<br>
 二子局、三子局について参考となる棋譜として、<br>
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 の、各々三局、計六局を挙げておきます。<br>
 の、各々三局、計六局を挙げておきます。<br>
 二子局での取組はだいたい以下の順序でレベルを上げていきました<br>


 二子局・三子局のために専門書がほしい、という方には「置碁のバイブル 下」(東京創元社、 梁宰豪(ヤン・ジェホ))がよいかと思います。置碁としての解説は当然こちらのほうが詳しいです。<br>
★二子局<br>
 ・最初は星打ちで三隅を星でいただき、白の掛りにはコゲイマ受けで対応<br>
 ・慣れたら小目打ちして一間高ガカリには下ツケ引き定石、ケイマガカリには秀策コスミ定石<br>
 ・次のステップとして小目打ちして白の掛りを待ち、一間高ガカリ、ケイマガカリどちらも二間高ばさみ<br>


 四子局以上には「天下四目 上」(東京創元社、徐 奉洙(ソ・ボンス))があることは冒頭に述べました。四子局以上については棋譜並べで効率よく勉強するのはちょっと難しいのではないかと思います。<br>
 置き碁では定石の勉強を意識して打つとよいと思います。四隅を互角に打ち分けることができれば背景の置石で自然と有利になれる、そういう定石選択ができるようになると石の方向を養うことにもつながると思います。置き碁で定石に慣れておけば互先で布石構想から外れた時の対応も自然とコナれた形になっていきます。


==互先==
 こういったことを考えると置碁と連続性のある(勉強が少なくて済む)互先の序盤戦法は<br>
 こういったことを考えると置碁と連続性のある(勉強が少なくて済む)互先の序盤戦法は<br>


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 ・互先白番:黒が二連星を布いたら四手目を小目に構える(「基本布石事典 下」P.16~27)<br>
 ・互先白番:黒が二連星を布いたら四手目を小目に構える(「基本布石事典 下」P.16~27)<br>


 ということになるのでしょうか。これについてはもう少し研究と考察が必要な気がします。<br>
 ということになるのでしょうか。ミニ中国流は小目でありながら、小目定石はあまり知らなくても使えるという利点があります。<br>
 
 置碁で星の二間高ばさみ定石に慣れてきたころ、小目も二間高ばさみ定石を覚えたいと思うようになりました。<br>
 星の二間高ばさみ定石は例によって「基本定石事典」とkombiloの組み合わせで頻出の代表定石と基本定石を調べ、それが出てくるプロの棋譜を並べました。7,8型だったと思います。このやり方で要領よく定石を覚えることができました。<br>
 星の二間高ばさみを使うと、二連星の内側に掛かられたときに有利な碁形を作れるようになりました。よって置碁では以前よりも序盤でリードできる(大振りな厚みを構築できる)ようになりました。同じような効果を小目についても得られるようになればと思ったのです。<br>
 小目の場合は一間高ガカリとケイマガカリの2パターンありますが、まずは一間高ガカリから始めました。つまり村正定石です。村正定石というと難解というイメージがありますが、基本定石事典とkombiloの組み合わせを見る限り、村正回避定石も含めて5型も覚えれば定石としてはおしまいです。それ以外はよく考えれば白黒どちらかが有利な進行になるので、相手との読みあいになります。掛かった側がシチョウ有利の場合は1990年代にいろいろな研究が出ましたが、初段前にはこのような研究は不要です。あっさりと隅をかかった側に譲り、掛かられた側は辺に開いて安定します。村正定石の標準形とシチョウ有利の場合の地の差はおそらく2目程度。アマチュアはそれで困るほど細かい碁は打っていないはずです。シチョウ有利型で小目に構えた側が切りにいかず、かかった側が最後に整形で一手打てば先手が取れます。こっちのほうがよほど大きい。<br>
 
 いずれにせよ、序盤に優勢を築くとゲームを有利に進めることができるのはいかなるゲームにも通じる鉄則です。強くなるには序盤の検討に力を入れるべきでしょう。(もちろん、死活は「新 早わかり死活小事典」位は読み慣れておく必要があります。別に暗記しろとはいいません。ヨセはここまでの棋譜並べである程度のレベルになっているはずです。また「出る順で学ぶ実戦死活」(山下啓吾)や「決定版! 星の死活」(山田晋次)は『並べて学ぶ』棋譜集と相性が良く、棋譜並べと相乗効果が期待できる詰碁集です。)<br>
 棋力と序盤構想の関係についてはもう少し研究と考察が必要な気がします。<br>


==指導碁==
==指導碁==
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 昔、趙治勲が何かのエッセイで「初段を目指すのなら、定石は50も知っておればよい。」と言っていました。その時はその50を教えてくれ、と思いましたが、それはわからずじまいでした。その後、石倉昇が「初段になるには、定石は10覚えればよい」とも言っていましたが、これは初心者向けのトークで、事実ではないな、と思いました。結局、どんな定石を学べばよいのかは誰も教えてくれなかったのです。<br>
 昔、趙治勲が何かのエッセイで「初段を目指すのなら、定石は50も知っておればよい。」と言っていました。その時はその50を教えてくれ、と思いましたが、それはわからずじまいでした。その後、石倉昇が「初段になるには、定石は10覚えればよい」とも言っていましたが、これは初心者向けのトークで、事実ではないな、と思いました。結局、どんな定石を学べばよいのかは誰も教えてくれなかったのです。<br>
 KGSの棋譜を分析することで、定石についていろいろなことがわかってきました。簡明な定石を組み合わせて碁形を作る、というアプローチで学ぶならやはり50も知っていれば十分なようです。<br>
 KGSの棋譜を分析することで、定石についていろいろなことがわかってきました。簡明な定石を組み合わせて碁形を作る、というアプローチで学ぶならやはり50も知っていれば十分なようです。<br>
 必要な書籍は「基本定石事典 上・下」と「三々打込み辞典」の3冊です。<br>
 必須の書籍は「基本定石事典 上・下」、「基本死活事典」、「三々打込み辞典」の4冊です。先々「辺の戦い辞典」が必要になるかもしれません。<br>


*「並べて学ぶ定石とヨセ」に出てくる星定石は一通り覚えましょう
*「並べて学ぶ定石とヨセ」に出てくる星定石は一通り覚えましょう
*相手の小目には一間高ガカリを徹底しましょう
*相手の小目には「並べて学ぶ定石とヨセ」に出てくる一間高ガカリを徹底しましょう
*難解定石は回避形を覚えましょう<br>すなわち、ナダレ定石、村正妖刀定石、ケイマバサミ定石の3つは使わず、<br>相手がナダレ、二間高ガカリ、ケイマバサミしてきたら回避定石にしましょう
*難解定石は回避形を覚えましょう<br>すなわち、自分からナダレ定石、村正妖刀定石、ケイマバサミ定石は仕掛けないようにし<br>相手がナダレ、二間高バサミ、ケイマバサミしてきたら各々の回避定石を打ちましょう
*相手が小目に構えて難解定石に持ち込む気配を感じたら一間高ガカリはやめて、大ゲイマガカリすることにしましょう
*相手が小目に構えて難解定石に持ち込む気配を感じたら一間高ガカリはやめて、大ゲイマガカリにしましょう
*自分の小目にケイマガカリされたら秀策コスミ定石で応じましょう
*自分の小目にケイマガカリされたら秀策コスミ定石で応じましょう
*星に両ガカリされたらツケノビする型を覚えましょう(三々打込みの事例で出てきます)
*星に両ガカリされたらツケノビする型を覚えましょう(三々打込みの事例で出てきます)
*星に一間受けへの三々打ち込み(三型あります)を覚えましょう
*星に大ゲイマ受けへの三々打込み(二型あります)を覚えましょう
*星に大ゲイマ受けへの三々打込み(二型あります)を覚えましょう
*星にコゲイマ受けへの三々打込み(コウ型と生き型、隅への浸食を最小限にする型の三型あります)を覚えましょう
*星にコゲイマ受けへの三々打込み(コウ型と生き型、隅への浸食を最小限にする型の三型あります)を覚えましょう
*目外し・高目・三々についてはとりあえず一型だけ覚えましょう
*目外し・高目・三々についてはとりあえず一型だけ覚えましょう


 これを基準にここのWeb Pageに出てくる定石を選べばおよそ45、6型になります。それ以上の定石は対局に出てきたらお付き合いで覚えればよいです。たぶん初段を目指す(とりあえずどんな時でも四隅を定石型に持ち込める)のに必要な定石はこれくらいです。<br>
 これを基準にここのWeb Pageに出てくる定石を選べばおよそ45、6型になります。それ以上の定石は対局に出てきたらお付き合いで覚えればよいです。たぶん初段を目指す(とりあえずどんな時でも四隅を定石型に持ち込める)のに必要な定石はこれくらいです。自分で碁罫紙に書き出してみるとかなり満足感があるはずです。<br>
 こういう地味な定石(と、その周辺手筋)を集めた定石書を書いてくれれば絶対買うのに、と思っています。出版社の方、上梓をお待ちしています。<br>


==関連項目==
==関連項目==
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